小麦ものがたり           2015年9月28日

      

          合同会社 青空生産農場


 

わたしたちが、栽培している小麦は、4年前の2011年に、山梨県は増穂町(現・富士川町)は舂米(つきよね)の「神田自然農園」さんから頂いたものです。長年、当地にて無農薬・無化学肥料で栽培されてきた種で、品種はニシノカオリ、準強力粉です。それを、毎年、自家採取し、無農薬・無化学肥料で育ててきました。

 

準強力粉は、もっとも使い勝手が良いものです。天ぷら・お好み焼き・たこ焼き、食育イベントでのほうとう・みみ作りから、パン屋さん・クッキー屋さんなどのお店まで、幅広く使って頂いております。

 

さて、今回の小麦の種蒔は、1か月遅れの12月も半ばでした。場所は、南アルプ市八田地区。土は、もと耕作放棄地を、4年間かけて、除草剤などを使わずに、籾殻・落ち葉・緑肥・選定枝などの炭素資材を微生物の餌として大量に土に鋤き込み、さらに、土壌の団粒化を促進するために、バクテリアミネラル堆肥もふりかけました。


バクテリアミネラル堆肥とは、茅ヶ岳中腹に位置する黒富士農場で作られているものです。黒富士農場は、日本初のオーガニック卵の認定を受けた、鶏の平飼いで有名なところでありますが、その餌などにも大変、気を使っている卵屋さんです。さらに、堆肥作りにも精力を傾けてらっしゃいます。山梨大学と共同で、人口のため池を再現し、自社の鶏糞をベースに、北海道から貝殻なども取り寄せ、作っているのが、バクテリアミネラル堆肥です。

 

長くなりましたが、小麦の種蒔は、稲刈りなどに追われ、1か月遅れとなりましたので、なんとしても完全を期すため、播種後に、保温のため、寒冷紗を敷きました。その姿を観た近隣の農家さんたちの間で、あれはいったい、何を作っているのだろう?と評判になりました。なにしろ、小麦の種蒔後に寒冷紗などを敷くことはないからです。


お蔭様で、なんとか1か月後には発芽しました。しばらくそのままにして、その後、少し暖かくなってから、一気に、寒冷紗をはがし、根が霜で浮かばないように、しっかり麦踏をします。


もう、ここまで来たら、安心です。ほくほくの土に根を深くまで張ってくれました。

あとは一気に、成長を待ちます。


充分に伸び切り、穂が垂れたところで、バインダーで刈っていきます。網などはあえてかけません。小鳥たちとも共存を目指します。というのは言い過ぎですが、気づかれないうちに、迅きこと風の如く、静かなること林の如しで刈り終え、その場で脱穀。刈った小麦を、ハーベスターにかけ、種を取り出します。数時間後には、あれほど密生していた小麦畑が空き地になっています。


さて、無農薬・無化学肥料で育てる小麦は、稲に比べてはるかに栽培が楽ですが、この後、少し手間がかかります。まずは、脱穀した粒を、千石という道具を使って風を作り、ゴミを吹き飛ばします。これを2回してから、ビニールハウスにブルーシートを敷き、2週間ほど、乾燥させます。


乾燥させた粒を冷暗所で保管し、注文に応じて、それを製粉所さんに持っていき、粉にして頂きます。製粉が終わっても作業は続きます。その粉を持ち帰り、マスクを付けて、粉が肺に入らないようにし、さらにふるいをかけて、小さな虫などを、完璧に取り除きます。全身、粉だらけになります。そして内側がチャック付きの2重の袋に詰めて、ついに出来上がりです。

小麦本来の味、香りをお楽しみください。

(画像は中力粉とありますが、今は、準強力粉と表示しております)